「引き輪」のクオリティー

一般的にチェーンに付ける留め具によく使われるのは、「引き輪」とよばれる、丸い輪っか状のタイプのもの。 取り扱いしやすく、見た目にも邪魔になりません。↓

ですが、今ではなかなか満足のいくクオリティの引き輪が見つかりません。

クオリティの良い引き輪とはどのようなモノなのでしょう。

今回はそれをテーマに記事を書こうと思います。

まず、上の写真の引き輪のように、一般的に出回っているものは、以下のようなパーツが組み立てられてできています。

①中が空洞でチューブ状になっている(緑色部分)本体パーツ

②Index(インデックス)と呼ばれる輪っかの開け閉めをするパーツ。

③鋼のバネ

このタイプのものは、写真のように解体してしまうと、元通りキレイに戻すのは大変です。

ですが解体せずに、引き輪につける輪(チェーン等との接続はこの輪でする)をロウ付けすると、簡単に引き輪本体が熱くなります。そして、中のバネ部分が熱され過ぎるとバネが全く効かなくなり、一度バネがダメになってしまうともう使いものにはなりません。

Index(インデックス)の部分も、銀線をぐにぐに曲げてロウ付けしてあるだけで、なんだか安っぽい。写真の例はまだましな方で、もっと安っぽい引き輪もたくさんあります。

でも残念ながら多くの人が重視するのはクオリティよりも安さ。その結果、真面目な引き輪を作っている会社が無くなってしまい、今では納得のいく引き輪が見つからなくなってしまっています。

私の探している引き輪は以下のようなもの。引き出しの奧から掘り出したのでちょっと変色していますがあしからず。↓

 分解すると••• 以下のようなパーツに分けられます。

  ↑輪っか本体の赤色部分は、中の詰まった銀線。の部分は中が空洞のチューブになっています。そのチューブの部分に鋼のバネがまず入り、黄色のインデックスを入れて、水色部分(水色部分と穴はネジになっています)を黄色の穴にねじを回しながら入れてブロックします。

小さなネジのおかげで、インデックス部分を取り外しできる構造になっているので、バネを熱し過ぎてしまうリスク無しに輪っかをロウ付けできるのが最大のメリット。

また、赤と青の部分の接続や、引き輪本体についている輪っか(上図ピンク部) の溶接がイマイチな場合にも分解して溶接を強化することが簡単にできます。

 ↓同様のタイプ。左はピンクゴールド、右はプラチナ。

残念ながら、今はもうこのような引き輪がなかなかみつからないんです。

というわけで、OKUSTATではカニカンというタイプの留め具を使っています。↓

買ったときに留め具についている小さな輪は、写真でみても分かる様に、ちゃんと丸くなかったり、線の太さが細すぎたり…、と問題が多いので、はずしてしまって自分で用意した輪を使います。

カニカンは慣れないうちはちょっと扱いが難しいかもしれませんが、丈夫で控えめ、そして輪をロウ付けする際にバネパーツを熱し過ぎてしまうリスクがかなり減ります。(素早くロウ付けしないとやはり留め具本体を熱し過ぎてしまうので注意)

この様に耐熱ブロックにカニカンと輪っかをセット
輪っか部分のみを熱して素早くロウ付け

留め具に付ける輪をロウ付けしないままにしておくといずれ輪が開いてとれてしまいます。

ですから、チェーンにつける留め具でも、パールネックレスにつける留め具でも、この小さな輪っかは必ずロウ付けしてお届けするようにしています。

カニカンが使いにくい、引き輪の方がいい、というお客様の声もあるのですが、今のところ

はどうしても満足できる引き輪がみつからず、カニカンで我慢して頂いております。どうぞご了承ください。

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