ピンクゴールドとムーンストーンのリングと”Méline(メリン) 5mm”

2016年も残りわずかとなりました。

皆様にとって良い1年となりましたでしょうか。

私自身は、長年難しいと思っていたテクニックが楽しいと感じるようになってきたり、

始めて取り組むモデルでも師匠の助言なしでもなんとなくプロセスがわかったり、

と少しですが職業が手についてきた感覚がようやくでてきた年でした。

クリスマスは修行先の師匠のお店の繁忙期。

期限の迫る注文が毎日ある中、たくさんのお客さんに応対して臨機応変にオーダープランを毎日組み立てていく様子は見ていてとても勉強になります。

さてさて、そんな中、

ピンクゴールドとムーンストーンのリングを注文して頂き制作しました。

手に取ってみるとピンクの微妙なニュアンスは明らかにイエローゴールドとは異なるのですが、

写真にその違いを収めるのが難しかったです。

18Kイエローゴールドが、金75%・銀12,5%・銅 12,5% なのに対して、

18Kピンクゴールドは、金75%・銀5%・銅 20% で作ります。

銅の量が増えることで、できあがりの金属の赤みが増す、というわけです。

もちろん合金は自分で用意します。

ムーンストーンの直径は4mm 角度によってブルーの光が。

制作過程はこちら⬇︎

ピンクゴールドの地金。
地金をローラにかけた状態。

右がイエローゴールド、左がピンク。ニュアンスの違いが出ているでしょうか。

リング本体石留め部分の厚みを残した状態で、腕部分だけさらにローラーにかけます。
V字にはめ込み合うように溶接箇所を準備。

こうすることで溶接箇所の強度が増し、将来サイズを大きくする際にここを叩いてサイズを大きくできるようにします。

V字を合わせて溶接。

金の溶接は銀の溶接に比べて不可視で強度も強いのが特徴。

リング本体の原型のできあがり。
石留めめチューブとなる輪っかを用意。
サイコロダイスと矢坊主でドーム状に。
上のドームをさらに少しずつ線引きの要領で穴に通して行き、

5mmの直径のチューブのできあがり。

チューブはコーン状にさらに変形。

指輪本体は余分な部分を削って形を整えます。

ドッキングの準備。

ヤスリで慎重に、両パーツを少しずつ削って合わせていきます。

ドッキング。鉄線で縛って溶接。

このリングとセットで注文して頂いたのが18Kイエローゴールドの5mm幅”Méline(メリン)”。

金の存在感はすごい。
こういうペアで作りました。

銀で作る時と違って、金はとても高価な材料なので、なるべくロスが少なくなるように製法を考慮しなければなりません。

その一方、銀に比べて18Kゴールドはものすごく硬い(金わ柔らかいと思いがちですが、18Kはものすごく硬い!)ので、銀で作る時よりも厚みや幅は少なくできます。

金属がかなり硬いので18Kの石留めは汗びっしょりになります。前腕力を集中させて金属を1点ずつ専用の鉄カブで倒すのですが、うっかり滑らせて石やリングに傷をつけると大変なので緊張します。