ジュエリー制作の材料となる貴金属は、とっても高価なもの。
特にプラチナは密度が非常に高い金属で、シンプルなリング1つを作るにもかなりのグラム数を要します。
従って、少量を買うにもかなりお財布が傷みます。
新しく金属を買い足すのを避けて、手元にあるグラム数で必要なボリュームが得られる方法を考えることも、ジュエリー制作においてはとても大切。
銀の場合はグラムあたりの金額もしれているので(といってもかなり高騰していますが)、そこまで頭をひねらなくても私程度の制作規模の場合は金銭的ダメージは少ないです。
ただ、金やプラチナ、パラジウムを素材にジュエリーを作る際はかなり頭をひねります。
プラチナのメリットは、強い炎で熱して溶かしても、あまりシャバシャバにならず、炎を使って形をちょっと調整することができるところ。
そうして欲しい地金の形にある程度近づくように溶かす時点から工夫することで、ロスが減ります。
プラチナでリングを制作する際、手持ちの地金の量に余裕が無い時は、真ん中に穴があくように溶かすことも。そうすることで、いずれにしても切り抜く中央部を予め穴にし、必要な量の金属を確実に確保することができます。
真ん中に穴があいた状態で溶かした地金をローラーで伸ばし、輪を切り抜く例。最終的にはわざわざ真ん中に穴をあけなくても十分な金属があったような気がしますが、リスクはおかさないに超したことはありません。 |
プラチナの融点は1768度。溶けたプラチナは太陽のように眩しく光ります。専用のサングラスで目をしっかり保護する必要があります。 |
地金から切り抜いた輪っか。 |
サイコロダイスを台にして変形 |
このように平たいリングが立体に生まれ変わります |
サイズを調整し、内側の面をまっすぐにしてから、外側をヤスリで削ります。 |
毎日素材に触れ、手を加えるうちに、よりそれぞれの素材を身近に感じますし、経験を通して素材についての知識も増えていきます。
「職人であるということは、素材についてより深く知ることである」
と師匠がいつも言っております。